都城普通科を代表する2つの高校といえば、泉ヶ丘高校と都城西高校です。
しかし、その校風は天と地ほども違います。
同じ都城市内にある県立高校の普通科なのに、これほど性格が正反対の学校も珍しいと思います。
学生時代から不思議に思っていたのですが、この2校は全てにおいて真逆なのです。
一言で表現すると“勉強が全て”の泉ヶ丘と、“バランス重視”の都西。
この2校の学習における考え方は、使用する英語の教科書を見れば、さらによく分かります。
今回、教科書から見える、両校の英語に対する考え方についてお話しします。
目次
1. 卒業生が語る、泉ヶ丘と都城西高の違い
実は私、泉ヶ丘高校出身なのですが、学生時代から自由な西高の校風に憧れていました。
西高に通う友人を見るにつれ「こちらの方が合っていたのではないか」と密かに感じていました。
泉ヶ丘は伝統を重視し、理想を追う学校です。
それに対して西高は現実を直視し、バランスを大切にする学校です。
その考えは、両校の使用する英語教科書(English Communication)にも当てはまります。
なぜ使用する教科書を見ただけで学校の校風が分かるのか、その理由をお話します。
2. 英語の教科書には3種類ある
実は、高校英語の教科書には3種類あります。
スタンダードクラス、ミドルクラス、そしてアドバンスクラスの3種類です。
アドバンス ・・・進学科向け(難)
ミドルクラス・・・普通科向け(中)
スタンダード・・・実業高校用(易)
ミドルクラスの教科書には、「MY WAY」や「Applause」「Grove」があります。
アドバンスクラスは、「Element」や「UNICORN」が代表的です。
泉ヶ丘は伝統的に最も難易度が高いアドバンスクラスを使用していますが、一方の西高はミドルクラスの教科書を使っています。
私が「理想主義」の泉ヶ丘と「現実主義」の西高。そう評した最大の理由はここにあります。
3. 都城の高校生の実態
私は、都城の高校生の実態を考えたとき、使用すべき教科書はミドルクラスが最適であると感じています。
西高はその辺りのことがよく分かっており、ずっとミドルの教科書を使用しています。
アドバンスクラスは進学コース向けと言いましたが、もっと言うと「都心部の生徒」向けです。
子どもの頃から英語に触れる機会が多くあり、意識が高く、英語が標準化している。そのような地域の生徒さんに向いているのです。
アドバンスのテキストを使う場合には、課外授業で補足使用するくらいが丁度良いでしょう。
それくらい、このテキストは難しいのです。特に泉ヶ丘の卒業生が使用していた「Pro-Vision」や「UNICORN」は、激ムズでした。
4. 都西は常にバランスを重視している
西高は昨年、一時的にアドバンスクラスの教科書を使用していましたが、すぐに元のミドルクラスに戻しました。
恐らく、難化傾向にある共通テストを睨んで、試験的にアドバンスを使用したのでしょう。しかし、やはり無理があったと感じて、元のミドルに戻したのではと推測しています。
その証拠に、西高が使用した教科書は、前年に泉ヶ丘が使用していた「Pro-Vision」でした。
泉ヶ丘のデータと比較しながら、試験的に使用していた感があります。
無理だと判断したら、引っ張らずにキッパリと元に戻す。
常に現実を追い、バランスを見誤らない西高の強みはこんな所にも現れており、伝統という名の下に理想を追う泉ヶ丘とは、ここが違います。
5. 理想主義の泉ヶ丘
現実主義の西高に対して、理想主義の泉ヶ丘。
学校の掲げる理想に、生徒の方を当てはめるのが、我が愛しの母校・泉ヶ丘高校です。
「アドバンスの教科書こそが、泉ヶ丘の伝統」と言わんばかりの強行策を敷いてきます。
理想を追わされる、泉ヶ丘の生徒さんは大変だと思います。都城の高校生の実態を考えたとき、あのテキストにいきなり付いていくのは難しいです。
環境が人を変えるので、アドバンスのテキストに馴染んでいけば、英語の成績が上がると考えているのかもしれません。しかし、基礎や土台がないところに、家は建てられないものです。
それにも関わらず「できないのは努力不足」と一刀両断にバッサリやられた学生さんは数知れず。これでは泉の後輩たちは、やりきれません。
どこまで行っても学校主体、付いていけなければ生徒の責任。理想主義もここまで徹底されると、何も言い返せません。
6. 現実主義の西高
理想主義の泉ヶ丘に対して、現実主義の西高。
飽くまでも生徒第一主義で、生徒の実態に合わせて教科書を選ぶのが都西の特徴です。
「生徒にとって最も良い教科書を」「理解できなければ意味がないから」とミドルクラスのテキストを選んできます。
この柔軟性は、西高のお家芸と言ってよいでしょう。
実際に西高の生徒さんは、ミドルクラスの教科書を使用しても、共通テストではそこそこの点数を取得してきます。
お子さんの実態に合わせた指導を行うという、教育の原点を見誤らない西高は「ハズさない」育成をしっかり継続しています。
同じ都城の普通科高校でありながら、どうしてこうも性格が違うのか、今もって私には分かりません。
都城普通科、最大の謎です・・・
7. 中学英語から高校英語への段差をいかに埋めるか
話を元に戻します。
高校英語を分かりやすく要約すると、中1→中2→中3→高1→高2と、滑らかな段階で進んでいくものではありません。
高校生になると、英語の難易度は急激に上がります。つまり、中3から高1への段差がかなり大きいのです。この段差に足を取られて、英語が分からなくなる生徒さんが大勢います。
もっと言えば、高1と高2間の段差は、それ以上に大きいです。
それを上手にクリアしているのが西高です。テキストの難易度を利用して、上手に段差を登らせています。
一方の自称進学校、我が母校はこの問題にどう対応していくつもりでしょう。
このまま理想を追い続ければ、そのしわ寄せは生徒に行くと思いますが、これで良いのでしょうか?
ところで、私もここまで言っていいのでしょうか(汗)卒業生なのでお許し下さい、とだけ付け加えておきます。
8. イングラムの考える対策
当アカデミーでは、2種類のテキストを併用して英語のレッスンを進めています。
リーディング用のテキストは、ベーシックなものから難しいものへと移行していきます。
実際、アドバンスの前にミドルを入れて、ステップの段差を少さくするだけで、お子さんはスムーズに英語に対応していきます。
そもそも普通科に合格するくらいのお子さん達ですから、能力の高い生徒さんです。
少しずつ1段1段、ステップの誘導をすれば、英語の階段を着実に登って行くことができます。
イングラムは、都城の英語アカデミーです。都城のお子さんの実態に合った指導方針でレッスンを進めていくつもりです。
9.「今の自分」を作ったのは、泉ヶ丘高校
泉ヶ丘と西高の違いをニュートラルな視点でお話しするつもりでしたが、気が付いたらかなり母校をボロカス言っている自分がいました。
いかに私が劣等生だったか、分かっていただけたと思います(笑)
しかし、フォローするわけではありませんが、今の自分を作ったのは、間違いなく我が母校、泉ヶ丘高校だと思います。
私はあの学校で「1つのことを徹底的にやる」ことを学びました。1つのことに没頭することの大切さを学びました。
認めたくないのですが、私は泉ヶ丘高校から大きな影響を受けていると感じる事がよくあります。
何かを追求する時、ストイックになるのは、間違いなく母校の影響でしょう。
私の高校時代の友人は「勉強と学力」が全ての泉ヶ丘にいて、人格まで変わってしまったと口々に言います。
「質実剛健、四当五落、日々是決戦」まるで軍人のような生活でした。
しかし勉強のことだけを考える時期や、目標のために他を犠牲にすることの必要性があることも確かです。
今の自分があるのは母校のお陰、でももう少し楽しい高校生活を送りたかった。
泉ヶ丘に対しては「愛憎」の入り交じる、何とも言えない感情が今も残っています。
9. まとめ
今回は英語の教科書から見る、泉ヶ丘と西高の視点の違いについてお話ししました。
いかがだったでしょうか。泉ヶ丘の卒業生が語る、忖度なしのお話は。
私がこの記事で言いたかったこと。それは都城のお子さんの実態を考えたとき、ベーシックな内容からじっくり進んでいく方が理に叶っているということです。
わずか3年間で、あの難解な共通テストを受験するのは、かなり大変です。
あれだけの量の英文を読みこなすのは、気の張る作業ではありますが、いつかは向き合わなければならない試練であることもまた事実。
遅かれ早かれ通らなければならない道なら、今から少しずつ、高みに登るのもありです。
大切なのは一歩、また一歩と進み続けることにあります。
継続は力になりますので、毎日一歩ずつ進めば、見える景色も変わってくるでしょう。
気が付いたら、共通テストが解けるようになっていた。
そう塾生から言ってもらえるよう、私も精進していきたいと考えます。